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【第7回】彼女の「嫌い」なところ:人の言葉に素直に喜べません

2017.07.08

【第7回】彼女の「嫌い」なところ:人の言葉に素直に喜べません


【コンプレックスお便り】


人の褒め言葉や好意を素直に受け止められません。「なにか下心があるのでは…」とか、「裏では悪口言ってるんだろうな」などとどこか勘ぐってしまいます。どうすれば、素直に人の好意を受け止められるのでしょうか?


心理学の言葉に「投影」というものがある。


無意識的に自分の心の中を人や物に投影してしまうというもので、たとえば同じ景色を見ても、寂しい気持ちの時は「なんだか寂しい景色だな」と感じ、陽気な気分の時は「生き生きした景色だな」と感じるというもの。きっと誰しも経験したことがあると思うけれど、同じものを見ていても、自分の心の状態によって(または思考パターンによって)見え方が異なる。


その時々の気分によって感じ方が変わったり、その人の考え方の癖によって感じ方が変わったりする。普段から暗いことを考えがちな人は、何かを見てもマイナスに感じやすいし、普段からハッピーな脳みその人は何をみてもハッピーに見える、という具合に。


さて、相談内容に戻る。


もし褒め言葉にどうしても裏があるように感じたり、「本当はそんなこと思ってないくせに」などと感じてしまうようだったら、あなた自身が、普段よこしまな気持ちで褒め言葉を投げている、ということはないだろうか?


相手の気分を害さないように、本当は全然楽しくない会だったにもかかわらず「すっごくたのしかったです!」などと言おうものなら、いつか誰かに「すごくたのしかったです」と言われても(本当か?)と勘ぐってしまう。


(すげー老けたな)と思ったにもかかわらず「相変わらずお綺麗で」と声をかけたり、(だせー)と思ったのに「素敵なカバンですね」と声をかけたり。


もしかしたら相手をいい気分にさせるための優しさの一環(または過剰に気を使った結果)なのかもしれないけれど、そういうことを繰り返しているうちに、いつの間にか自分が声をかけられた時にも、そう感じてしまうようになるんじゃないか、と思う。最初は気づかなくても、そういう“思ってもない言葉”はじわじわと自分に影響を与えるようになっていく。


わたしは基本的には「思ってもないことは言わない」ようにしている。別に過剰なお世辞を言わなくたってその場は円滑に回るし、もし過剰のお世辞を言わなければうまく回らないような場所があるとしたらそんなところに継続的に出掛けたりしない。


無理にヨイショを繰り返すとき、気持ちの乗っていない言葉たちが悲しんでいる気がする。吐かれるたびに「このやろう、思ってもないこと言いやがって」と言葉たちが恨みを募らせ、いずれ彼らの逆襲が始まるような……まぁ“逆襲”とまで言わなくとも、やはりそういったものは跳ね返ってくると思うのだ。時にはお世辞も必要かもしれないけれど、決して思ったことをそのまま言えというわけではないし(ぶさいくですね、と言うわけでもないし、そのカバンださいですね、と言うわけでもない)、ただただ口をつぐんでおけばいいだけの話。


このお悩みには、できるだけ自分が心の底から感じた褒め言葉だけを口にするのが一番の解決策だと思う。普段から、本当に素敵だと思ったところを褒めるようにして欲しいのだ。好意も一緒。心から力になりたいときにだけ、手を差し伸べる。打算ばかりで手を差し伸べていると、自分への好意も疑うようになってしまうから。


やっぱり自分の行動は巡り巡って自分のところに戻ってくるものなのだ。



ついでに言っておきたいのだけれど、褒め言葉に対する正しい答え方は「いえいえ、そんな」ではなく「ありがとう」だと思う。


誰かを心底素敵だと思って褒めた時、「ぜんぜんそんなことありません」と言われると跳ね返された気がしてちょっと悲しくなる。こっちの気持ちを「そんなもの要りません」と突っぱねられたような悲しさ。


そんな謙遜より、「ありがとう」と微笑まれた方が何倍も気持ちよくなるし、伝えてよかったと思える。



【第五回】彼女の「嫌い」なところ:「自分のことが嫌い」な人たち(https://mycarat.jp/articles/88)にも書いたけれど、褒め言葉はあくまでも「栄養ドリンク」。別にその栄養ドリンクを嫌がったり、(本当なのか?)と疑ったり、そんなことをする必要はまったく無いんじゃないだろうか?


どんな褒め言葉でも、「ありがとう」と笑顔で受け取って、次から頑張る燃料にしたらいい。


褒められた時の、素敵な返し方はこうだと思う。


「ほんとですか? うれしい。頑張った甲斐がありました」


または


「そんな風に言ってもらえるなんて幸せ。ありがとう」


こんな風に言ってもらえたら、勇気を出して褒めた甲斐があったなと思えるし、まさに正のループが待っている。頑張ったことは素直に「頑張ったので嬉しいです」と言えばいい。


嬉しい。楽しい。ありがとう。こういう言葉は、相手をも幸せにする言葉。褒め言葉を受け取ったときには、謙遜よりもまずそういう言葉を発することができるようになってほしいなと思う。


どうしてもひねくれた見方をしている人。相手を疑うよりも前に、まず、自分の普段の行動を疑うようにしたほうがいいかもしれない。


(ライター/さえり 写真/インディ 編集/サカイエヒタ)


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