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PMSの緩和・改善方法って?―2.「パニック・逃避」タイプ

2017.11.02

PMSの緩和・改善方法って?―2.「パニック・逃避」タイプ


PMSの症状は「興奮・イライラ」タイプ、「パニック・逃避」タイプ、「落ち込み・クヨクヨ」タイプの3つに分類されます。前回は「興奮・イライラ」タイプについて詳しく解説しました。今回は「パニック・逃避」タイプについてです。


多くのPMSの患者さんを治療し、改善に導いている、銀座の研医会診療所 漢方科の岡田研吉先生にご解説いただきました。

取材協力・監修


岡田研吉 医師


公益財団法人 研医会診療所 漢方科。1972年、東邦大学医学部卒業。ドイツ・リューベック医科大学留学中に東洋医学を志す。帰国後、名古屋聖霊病院・藤枝市立病院に勤務する傍ら、国立東静病院で漢方療法を学ぶ。1982年に北京中医学院(現・北京中医薬大学)に1年間留学。東京・玉川学園で岡田医院を開業。著書に『素問次注集疏(上・下)』『傷寒論考注(上・下)』『宋以前傷寒論考』ほか。

■「パニック・逃避」タイプってどんな人?

最初に、タイプについてもう少し詳しくご説明していきましょう。


東洋医学には、「五行説」というものがあります。これは、各臓器の関連の仕方や個々の臓器の働きが、長年の経験則から体系的にまとめられて図式化したもののことです。


「たとえば『心(しん)(※1)』は大きくふたつの役割を担っています。ひとつは、拍動することで全身に栄養物を届け、新陳代謝、生命活動を成り立たせる血液を送る働き、もうひとつが、精神・意識・思考など高次元の神経系の機能です。心が単に血液循環用のポンプだけでないことは、『こころ』という、もうひとつの読み方にも表れているといえます。


そして『パニック・逃避』タイプですが、これは基本的に『心の機能低下』によるものと考えられます。その背景には、肝の機能低下にともなう場合や、脾の機能低下に起因するケースなどいくつかの要因は考えられますが、ほかのタイプとの判別のポイントは、とにかく『情緒・精神が不安定であること』といえます。『気分が沈む』『強い不安感』『悲しい気持ちが強くなる』『泣きわめく』『ヒステリー』など、感情の起伏が激しく、まさに情緒不安定になりやすい方ですね」

※1 心(しん)

漢方で「心」「肝」「腎」という言葉を使う場合、その意味は「心臓や肝臓や腎臓などの臓器自体」と、「その臓器の機能、働き」を表しています。

症状的に見るとメインとなるのはメンタル系です。イライラ怒りっぽくなった、と思ったらガクンッ!と気分が落ち込んだり、かと思うとヒステリックに泣きわめいてしまったり……。まさにパニックというわけですが、このほか、あくびが出やすいといった特徴的な症状もあります。

■「パニック・逃避」タイプにおすすめの漢方は?

「このタイプについては、漢方の抗不安剤ともいえる処方『甘麦大棗湯』がいい結果を出しています。


もともとこの処方は心身の興奮を鎮め、不安定な状態を改善するもので、子どもの夜泣きやひきつけ、さらには、統合失調症など、幅広いメンタル安定に効果を発揮しています」

【甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)】

構成生薬:小麦(しょうばく)、大棗(たいそう)、甘草(かんぞう)

この処方に含まれている3つの生薬は、いずれも「緊張を緩和する」「興奮を鎮める」といった作用をもっています。それらが配合され、一緒に働くことでよりよい効果を発揮していると考えられています(※3)。

※3

甘麦大棗湯は、お医者さんが処方する「医療用医薬品」と、街のドラッグストアなどで買える「一般用医薬品」では、メーカーにもよりますが、効能効果に多少差異のある場合があります。

■食べもので緩和できる?―「パニック・逃避」タイプの場合

「気分が落ち着かない、パニックになりそう、といったとき、素早く気分を安定させてくれるもののひとつに「甘いもの」があります。


昔から、いろいろな実験や症例研究などで、甘いものにはメンタルを安定させる働きがあるという報告がなされています。確かにその傾向はあると思います。実際、甘麦大棗湯も、含まれるすべての生薬が甘い味で、だから子どもでも非常に飲みやすい、珍しい処方といえます」


泣きわめきながら、おまんじゅうやケーキをむさぼるように、食べていたらいつの間にか気分も落ち着いて……、マンガやドラマで見ることも少なくないこうしたシーンも、なるほど、結構理に適っているのですね。とはいえ、食べ過ぎには要注意ですが。



今回ご紹介したのは、あくまでも大まかなタイプ分類に対する第一選択で治療の第一歩です。なかなか症状が治まらない場合は、岡田先生のような専門医にご相談ください。


(取材・文 岩井浩)