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PMSの緩和・改善方法って?―3.「落ち込み・クヨクヨ」タイプ

2017.11.05

PMSの緩和・改善方法って?―3.「落ち込み・クヨクヨ」タイプ


PMSは大まかに分けて「興奮・イライラ」タイプ「パニック・逃避」タイプ、「落ち込み・クヨクヨ」タイプの3つのタイプがあります。今回は「落ち込み・クヨクヨ」タイプについて。多くのPMSの患者さんを治療し、改善に導いている、銀座の研医会診療所 漢方科の岡田研吉先生にご解説いただきました。

取材協力・監修


岡田研吉 医師


公益財団法人 研医会診療所 漢方科。1972年、東邦大学医学部卒業。ドイツ・リューベック医科大学留学中に東洋医学を志す。帰国後、名古屋聖霊病院・藤枝市立病院に勤務する傍ら、国立東静病院で漢方療法を学ぶ。1982年に北京中医学院(現・北京中医薬大学)に1年間留学。東京・玉川学園で岡田医院を開業。著書に『素問次注集疏(上・下)』『傷寒論考注(上・下)』『宋以前傷寒論考』ほか。

■「落ち込み・クヨクヨ」タイプってどんな人?

さて、まずはタイプについて、もう少し詳しくご説明していきましょう。


「東洋医学には、『五行説(図1)』があります。各臓器にはさまざまな役割があり、たとえば『肝(かん)(※1)』は精神・情緒の安定に、『心(しん)(※1)』は精神・意識・思考など高次元の神経系の機能にもかかわっています。


では、このタイプはどうかというと、おもに肝や心の機能低下が原因になっていると考えられます。『気分が落ち込む』『悲しい気持ちになる』といった抑うつ状態や、いらいら(カーッと逆上、激昂するようなものではなく)、不安感、焦燥感、そして、「やる気が起きない」などの意欲の低下などが顕著に見られます。


このタイプの方は、普段からこうした傾向が見られますが、月経前の時期に特に症状が悪化するのが特徴です」

※1 肝(かん)・心(しん)

漢方で「心」「肝」といった言葉を使う場合、その意味は「心臓や肝臓などの臓器自体」と、「その臓器の機能、働き」を表しています。

■「落ち込み・クヨクヨ」タイプにおすすめの漢方は?

「このタイプは、落ち込みやすい、くよくよと内的に考え込む傾向があるという一番の判断ポイントに加え、胃腸が弱いなど虚証(きょしょう)の傾向もあります。


そこで肝、脾(※3)の機能失調を改善して心身の不調を治していく『抑肝散加陳皮半夏』が第一選択になります。

※3 脾

大まかに、消化吸収など「胃腸の働き」を指す言葉といえます。

【抑肝散加陳皮半夏(よくかんさんかちんぴはんげ)】

構成生薬:柴胡(さいこ)、釣藤鈎(ちょうとうこう)、蒼朮(そうじゅつ)、茯苓(ぶくりょう)、当帰(とうき)、川芎(せんきゅう)、陳皮(ちんぴ)、半夏(はんげ)、甘草(かんぞう)

「全9種の生薬から成るこの処方ですが、構成的には『抑肝散』という処方に『陳皮』『半夏』という生薬を加えた形になります。


熱や炎症を抑え、筋肉の緊張を緩和し、メンタル症状の緩和・改善にも働く『柴胡』を中心に、脳循環の改善に働くとされる『釣藤鈎』や、水分代謝、緊張緩和、メンタル安定などに作用する『茯苓』などが配合されています。『陳皮』『半夏』は胃腸の機能改善などに効果を発揮します。


また、このタイプで、生理後、貧血気味になることが多い方の場合、この処方に加味帰脾湯をプラスすると、より症状改善に効果的なケースが多いですね(※4)」

※4

抑肝散加陳皮半夏、加味帰脾湯は、お医者さんが処方する「医療用医薬品」と、街のドラッグストアなどで買える「一般用医薬品」では、メーカーにもよりますが、効能効果に多少差異のある場合があります。

■食べもので緩和できる?―「落ち込み・クヨクヨ」タイプの場合

このタイプに総じて見られる「元気、やる気のなさ」は、私たちの心と身体を動かしているエネルギーの「気(き)(※5)」が、正しく巡っていないことで起こるケースが多々あります。

※5 気

「気力」など生命エネルギーのこと。

「そこで、気分的にダウンになりやすい人には、カレー、特にインドカレーなどウコンやショウガといった気を巡らせるスパイスが豊富に入っているタイプがおすすめです。冬の寒い時季などはよりいいでしょうね」


イライラやほてりなど熱感が強いとか、夏場の暑い時季など、控えたほうがいい状態やシーズンなどはあるものの、年間をとおして、スパイスの効いたカレーを積極的に食べることはメリットがあるといえそうです。



これらの方法は、あくまでも治療の第一歩。大まかなタイプ分類での第一選択です。気になる症状がある方は、ぜひ岡田先生のような専門医にご相談ください。


(取材・文 岩井浩)